妊娠に影響しやすい主な子宮の病気
妊娠を考えたらチェックしておきたいのが、婦人科系疾患の可能性です。子宮の病気は、特にこの3つの可能性に当てはまらないかをチェックしてみましょう。
子宮内膜症
子宮内膜症は、不妊に悩む人の3人に1人に見られると言われるほど、妊娠に影響しやすい病気です。30〜40代に多い病気と言われていましたが、最近では20代にもよく見られます。
症状チェック
これらの項目の多くに心当たりがあれば、早めに受診しましょう。
- 寝込むほど生理痛が激しく、月ごとにひどくなる
- 生理日以外でも、下腹部や腰の痛みがある
- 生理ではレバー状のかたまりが出る
- 月経血の量が多い
- なかなか妊娠しない
- おなかが張っている感じがする
- 排便の痛みや痔のような痛みを感じる
- セックスのときに痛みを感じる
子宮以外の場所でも「生理」が起こる病気
子宮の内側を覆っている子宮内膜が、なぜか子宮以外の場所(主に卵管、卵巣、腹腔、子宮体部の筋層、腸壁など)にも出来てしまう病気です。原因はよく分かっていません。女性ホルモンの作用によって、本来の子宮内膜と同じように、生理のたびに増殖してははがれ落ち、出血します。
しかし、子宮口のように血液を排出する出口がないため、血液がその場にたまってしまい、炎症や癒着を起こしたりします。その病巣部が妊娠の障害となり、不妊につながるケースが多いのです。卵巣チョコレートのう腫の場合、直径5〜6cm以上になっていたら手術で切除をしてからの妊娠が勧められます。
妊娠・出産によって症状が軽くなることも
子宮内膜症は生命に関わる病気ではありませんが、放っておくと症状はさらに重くなり、妊娠は年々難しくなります。上のような症状に気付いたら、早めに婦人科を受診して検査を受けましょう。ただし、診断が難しく確定まで何年も要する場合もあります。
妊娠期、授乳期には生理が止まるため、症状はほとんどなくなります。
しかし、生理が再来するとまた症状が繰り返されます。そのため、子どもが欲しい人は早めに妊娠し、病気が進行する前に子どもを産むのがベストです。妊娠に影響しやすい場所に病巣が出来ている場合には、その部分を切除することで、妊娠の確率がアップすることもあります。
妊娠以外の期間では、鎮痛剤や漢方薬、ホルモン剤などを利用しながら、気長に症状を軽減していくのが一般的です。生理がなくなると症状はなくなるため、閉経前までお付き合いする病気です。
子宮筋腫
子宮筋腫とは、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍のこと。30〜40代に多い病気です。
場所や大きさによって症状には個人差があり、場所によっては不妊の原因にもなります。なかにはまったく自覚症状がなく、妊娠によって筋腫が発見される人もいます。
症状チェック
これらの項目の多くに心当たりがあれば、早めに受診しましょう。
- 月経血の量が多く、生理期間が長い
- 生理ではレバー状のかたまりが出ることもある
- 生理中に疲れやだるさを感じやすくなった
- トイレが近くなった、便秘になった
- 生理日以外でも下腹部に痛みや張りを感じる
- 下腹部にしこりがある
症状が軽ければ、妊娠・出産も可能
子宮筋腫は良性の腫瘍なので、大きくなっても生命に関わることはなく、ガン化することもまずありません。ただし、筋腫が大きかったり、数が多くて子宮内膜に凸凹ができていたり、受精卵が着床しにくい場所にできていたりすると、妊娠しにくくなったり、流産、早産の原因となることもあります。
しかし、筋腫の数も少なく、サイズも3〜4cm程度であれば問題なく出産できるケースの方が多いため、あまり心配しすぎる必要はありません。
ただし、歳月を経るごとに筋腫は大きくなりますし、妊娠中も大きくなりやすいため、子どもが欲しい人は早めに妊娠するよう勧められます。
不妊の原因なら手術することも
検査を受けて子宮筋腫の疑いがある場合には、3ヶ月に1度は婦人科を受診し、筋腫の状態を診てもらいましょう。場合によっては、筋腫を小さくする効果のあるホルモン剤を使用することもあります。
また、筋腫の大きさや位置によって不妊につながっている場合には、その部分だけを取り除く手術が行われる場合もあります。
7〜8cmくらいの大きさになっていれば、切除してから妊娠に臨んだ方がベターです。
子宮頸ガン
子宮ガンには、子宮の入口付近にできる「子宮頸ガン」と子宮内膜にできる「子宮体ガン」がありますが、妊娠できる年齢の女性が特に気をつけたいのは、子宮頸ガンです。自覚症状が少ないため、検診で早期に発見する必要があります。
症状・危険因子チェック
初期には自覚症状はほとんどありませんが、次のことに心当たりがあれば早めに受診しましょう。
- セックスの後に出血することがある
- 血液の混ざったおりものや茶色いおりものが出る
- 生理日以外にも出血がある
- 性体験がかなり若い時期からある
- 性的パートナーがたくさんいる(交際中の男性にも)
- 分娩回数が多い
- 陰部を清潔にしないでセックスをすることが多い
セックスによって感染しやすい病気
子宮頸ガンの原因はまだ完全に分かっていませんが、セックスによって感染するウイルス(ヒトパピローマウイルス)によるものという説が有力です。
かなり若い頃から性的経験があり、多数の男性との性体験がある人は特に注意が必要ですが、1回のセックスでも感染します。発症は20代から増え始め、40〜50代に最も多くなります。
自治体や企業が行う集団検診、定期健診では30代以上が対象になりますが、複数の男性との性体験がある人は、年齢を問わず年に1度は自費でも検診を受けましょう。
厚生労働省では、子宮頸ガン検診の対象年齢を20歳以上とし、2年に1度の検診となりました。自治体や職場の検診を利用すれば比較的安価に受けられますので、忘れずに受けましょう。
妊娠前の検査・治療が大切
子宮頸ガンの初期であれば、子宮や卵巣を残して手術することができます。
そのため、妊娠前に治療をすれば、傷口が治った半年後には妊娠しても大丈夫です。
妊娠後には、妊娠初期に子宮頸ガン検査を受けるケースが多く、その際に発見されることも多いものです。その場合、初期のガン(0期)であれば病巣部をレーザーで焼いたり、子宮頸部を円錐状に切除する手術を行った後、子宮口を縛ることで妊娠を継続できます 。
しかし、進行性のガンの場合には、基本的には今回の妊娠は諦め、治療を終えてからの妊娠を目指すようになります。また、妊娠の後半期に発見された場合には、出産を終えてから子宮を摘出する手術を行うようにします。
監修/三鷹レディースクリニック院長 天神尚子先生


